失格者の祈り

2007年03月11日                  箸本‘husky’竜也

いくつかのクラスでは話したことがあるんだけど、四年前、一度だけ、心の底から、神に祈ったことがある。


それは、まだ(と言っていいものかわからないが…)二十歳だった僕の、生まれて初めての、本当に切実な祈りだった。そして、結果的に、ということになるのかもしれないが、その祈りは届いた。


 


間違いだった。


 


今の僕にはわかる。いくら自分が苦しんでいたにせよ、幼かったにせよ、他にすがるものがなかったにせよ、何かを守ろうとした祈りであったにせよ、あんな祈り方だけはすべきじゃなかった。


 


僕は神を信じていない。もしそんなものがいるのなら、一生をかけて憎んでやりたいと思うときもある。だいたい、神がいようがいまいが、僕という人間にはもう、祈る資格がないような気がする。


それでも。


 


さっき、窓を開けてみた。夕方はさんざんに吹き荒れていた風が止まっていて、星がいくつか見えていて、空気はぴんと張って、澄みきっていて、静かで。


 


「神様…」


 


あんたの名前を呼ぶのは四年ぶりだ、と僕は思った。


別に世界中の人間を幸福にしてくれなんて言わねーよ。


あんたがそんなに万能じゃないってことはよくわかってる。


それに、気まぐれで、残酷で、でも、全部知っていて。


僕が一生かかっても出せないような種類の答えも全部知っていて、ときどき、僕の弱さに腹を立てたり、僕の馬鹿さ加減を嘲笑ったりしてるんだろう。信じないならなぜ名前を呼ぶのだと。憎んでいるならすがろうとするなと。


いいさ。僕の存在は答えを求めるには小さすぎる。


 


でも、神様、僕にはもう、できることがないんだよ。


そんなに無理なことは望まない。


地震や津波が起きたっていい。戦争がなくならなくてもいい。飢餓や病気や殺人や環境汚染がこの世にあっても、僕は文句を言わない。


だから、どうか。


どうか、どうか。


神様。

posted by kaitaku at 19:35 | 愛知 ?? | Comment(0) | TrackBack(0) | 箸本‘husky’竜也
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